PDLLA+HA vs. PLLA|ほうれい線改善を比較した2026年臨床研究
年齢とともに目立ちやすくなるほうれい線(Nasolabial Fold:NLF)。
近年、肌のハリやボリューム感をサポートする選択肢として、**PDLLA(Poly-D,L-lactic acid)やPLLA(Poly-L-lactic acid)**を用いたアプローチへの関心が高まっています。
では、PDLLA+HAとPLLAでは、臨床的にどのような違いがあるのでしょうか?
2026年に Skin Research and Technology に掲載された研究では、PDLLA+非架橋HAを含む製剤とPLLAを、同一被験者の左右のほうれい線にそれぞれ使用するランダム化・Split-face比較試験が行われました。
今回の研究では、両群ともベースラインと比較してほうれい線の重症度が有意に改善し、PDLLAベース製剤はPLLAに対して**非劣性(non-inferiority)**を示しました。

1. どのような臨床研究だった?
今回紹介する研究は、2026年1月に発表された比較臨床研究です。
研究タイトル:A Split Face Study Comparing the Effect of a PDLLA Based Product and PLLA on the Nasolabial Fold (NLF)
掲載誌: Skin Research and TechnologyVolume 32, Issue 1, e70324DOI: 10.1111/srt.70324
研究の主な特徴
対象:33名
研究デザイン: 多施設・ランダム化・Split-face比較試験
評価者: 評価者盲検
比較: PDLLA+非架橋HA vs. PLLA
施術回数: 3回
施術間隔: 4週間
対象部位: ほうれい線
評価指標: WSRS(Wrinkle Severity Rating Scale)
観察期間: 24週間

2. 「Split-face試験」とは?
今回の研究で注目したいポイントのひとつが、**Split-face(左右比較)**という研究デザインです。
同じ被験者の
片側 → PDLLA+非架橋HA反対側 → PLLA
という形で比較しています。
つまり、年齢や肌質など、被験者ごとの個人差をできるだけ抑えながら、2つの製剤を比較できる設計です。
さらに、3回の施術を0週・4週・8週に行い、その後も経過を追跡しました。
3. 何を使って改善度を評価した?
研究では、ほうれい線の重症度を評価するために、**WSRS(Wrinkle Severity Rating Scale)**が使用されました。
評価時点は、
0週 → 4週 → 8週 → 12週 → 24週
です。
つまり、施術直後だけではなく、複数の時点で経過を確認しています。

4. 臨床研究の結果は?
最も重要なポイントです。
研究では、PDLLA+HA群、PLLA群の両方で、ベースラインと比較してほうれい線の重症度が有意に改善しました。
統計学的には、評価時点を通じて p < 0.001 が報告されています。
さらに、24週間の観察期間を通じて、両群の改善度は同程度でした。
研究者らは、PDLLAベース製剤がPLLAに対して**非劣性(non-inferiority)**を示したと結論づけています。
PDLLA+HA ≈ PLLA
というのが、今回の研究結果をシンプルに表すときのポイントです。
5. 「非劣性」とは?
ここは非常に重要です。
「非劣性=より優れている」という意味ではありません。
Non-inferiorityとは、簡単にいうと、
比較対象であるPLLAに対して、あらかじめ設定された許容範囲を超えて劣っていない
ことを統計学的に確認する考え方です。
したがって今回の研究結果から、
❌「PDLLA+HAのほうがPLLAより優れている」
と結論づけることはできません。
一方で、
✅「今回研究されたPDLLA+HA製剤は、ほうれい線改善においてPLLAに対して非劣性を示した」
という表現が適切です。
6. PDLLA+HAが注目される理由
PDLLAは、Poly-D,L-lactic acidを意味する生分解性ポリマーです。
今回の研究で評価された製剤は、PDLLAに**非架橋ヒアルロン酸(HA)**を組み合わせたものです。
研究論文では、PDLLAは生体適合性・生分解性を持ち、コラーゲン産生を促す特性が報告されていると説明されています。
また、非架橋HAを組み合わせることで、HAによる水分保持やボリューム感など、異なる特性を組み合わせた製剤設計が検討されています。
ただし、ここで重要なのは、今回の研究結果は研究対象となった特定のPDLLA+HA製剤についての結果であるという点です。
すべてのPDLLA製品に同じ結果をそのまま当てはめることはできません。
7. 24週間の経過からわかること
今回の研究では、施術後すぐの変化だけではなく、24週間にわたって経過を観察しました。
PDLLA+HA群とPLLA群はいずれもベースラインと比較して改善を示し、観察期間を通じて両群の改善度は比較的近い推移を示しました。
これは、コラーゲンバイオスティミュレーターを評価する際に、短期的な変化だけではなく、時間の経過に伴う変化を見ることも重要であることを示しています。

8. 安全性について
研究では、安全性についても被験者への聞き取りや症例報告書を用いて確認されました。
論文では、主に一時的な腫れなどが報告されており、研究期間中の安全性についても評価されています。
ただし、研究者らは長期的な安全性については、さらなる研究が必要としています。
9. 2026年には別のPDLLA臨床研究も
2026年7月には、PDLLA-HA製剤を使用した別の臨床研究も発表されています。
この研究では、中等度〜重度のほうれい線を持つ20名を対象に、3回の施術を1か月間隔で行い、最終施術から3か月後まで評価しました。
その結果、3か月後のGAIS評価では、**85%が「改善」または「著明改善」**と評価され、90%が高い満足度を報告しました。PubMed
ただし、この研究は33名を対象としたランダム化Split-face比較試験とは研究デザイン・対象人数が異なる別研究です。
そのため、2つの研究結果を単純に合算して解釈することはできません。
PDLLA+HA vs. PLLA|比較まとめ
項目 | PDLLA+HA | PLLA |
主成分 | PDLLA+非架橋HA | PLLA |
対象部位 | ほうれい線 | ほうれい線 |
比較方法 | Split-face | Split-face |
被験者 | 33名 | 33名 |
施術回数 | 3回 | 3回 |
施術間隔 | 4週間 | 4週間 |
評価指標 | WSRS | WSRS |
観察期間 | 24週間 | 24週間 |
ベースラインからの改善 | 有意な改善 | 有意な改善 |
比較結果 | PLLAに対して非劣性 | 比較対象 |
長期安全性 | さらなる研究が必要 | 継続的な評価が重要 |
FAQ|PDLLA+HAとPLLAに関するよくある質問
Q1. PDLLA+HAとは何ですか?
PDLLA(Poly-D,L-lactic acid)と**非架橋ヒアルロン酸(HA)**を組み合わせた製剤です。今回の2026年臨床研究では、ほうれい線改善を目的としたPDLLAベース製剤が評価されました。
Q2. PLLAとは何ですか?
PLLAはPoly-L-lactic acidの略称です。生分解性ポリマーの一種で、コラーゲンバイオスティミュレーターとして研究・使用されてきた材料です。
Q3. PDLLA+HAはPLLAより優れていますか?
今回の研究からは、そのようには結論づけられません。
研究で示されたのは、PDLLAベース製剤がPLLAに対して非劣性であったという結果です。
Q4. 研究には何人参加しましたか?
33名が参加しました。
各参加者の左右のほうれい線に異なる製剤を使用するSplit-face方式で比較されています。
Q5. 何回施術しましたか?
4週間間隔で合計3回です。
0週、4週、8週に施術し、その後24週まで評価しました。
Q6. 効果はどのように評価しましたか?
主に**WSRS(Wrinkle Severity Rating Scale)**を使用して、ほうれい線の重症度を評価しました。
Q7. 両方とも改善しましたか?
はい。
PDLLA+HA群とPLLA群の両方で、ベースラインと比較してほうれい線の重症度が有意に改善しました。
Q8. すべてのPDLLA製品に同じ結果が期待できますか?
いいえ。
今回の研究は特定のPDLLA+非架橋HA製剤を対象としたものです。
粒子構造、濃度、HAの種類、製剤設計などが異なる製品に、同じ結果を一般化することはできません。
Q9. 長期的な安全性は確認されていますか?
今回の研究は24週間の観察でした。
研究者らは、長期的な安全性についてさらなる研究が必要としています。
まとめ|臨床研究から見るPDLLA+HA
2026年に発表されたランダム化Split-face臨床研究では、
PDLLA+非架橋HAとPLLAの両方で、ほうれい線の重症度が有意に改善しました。
そして、PDLLAベース製剤はPLLAに対して**非劣性(non-inferiority)**を示しました。
今回の研究から読み取れるポイントは、
✓ PDLLA+HA:ベースラインと比較して有意な改善✓ PLLA:ベースラインと比較して有意な改善✓ 両群の改善度:観察期間を通じて同程度✓ PDLLA+HA:PLLAに対して非劣性✓ 長期的な安全性:さらなる研究が必要
という点です。
今後もPDLLA、PLLA、HAなど、それぞれの素材特性と臨床エビデンスを理解することは、より適切な製剤選択や治療設計を考えるうえで重要になっていくでしょう。
参考文献
Park J-Y, Im D-J, Jeon H-D, et al.A Split Face Study Comparing the Effect of a PDLLA Based Product and PLLA on the Nasolabial Fold (NLF).Skin Research and Technology. 2026;32(1):e70324.DOI: 10.1111/srt.70324. Wiley Online Library
Yi K-H, Rosellini I, Lim Jia Min J, Kim HS.A Clinical Study on the Efficacy and Safety of Injectable PDLLA for Nasolabial Fold Correction: Juvelook treatment for Nasolabial fold.Journal of Craniofacial Surgery. 2026.DOI: 10.1097/SCS.0000000000012819. PubMed
本記事は公開された臨床研究に基づく情報提供を目的としたものであり、個別の治療を推奨するものではありません。製剤ごとの承認状況・使用方法・臨床エビデンスを確認し、適切な医療従事者による判断のもとで使用してください




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